マーリンズ・イチローは日米通算4257安打の「ピート・ローズ超え」を達成した後の記者会見で、イチロー節を炸裂させたが、その中で印象に残る言葉があった。
【写真】日米通算4257安打をマークしヘルメット掲げて声援に応えるイチロー
「日本だけでピート・ローズの記録を抜くことがおそらく一番難しい…」
大リーグは日本の公式戦よりも約20試合多い。試合数が単純に増えることで、安打数は増えると言うわけだが、このフレーズを聞いて、10年前の言葉をすぐに思い出した。06年7月26日(日本時間27日)のブルージェイズ戦。この試合で2安打したイチローは、メジャーで1279安打とした。オリックス時代に放った1278安打を上回ったわけだが、イチローは「スピードが大事」と2度言った。オリックス時代の9年間、951試合で積み上げた記録を大リーグで、54試合も早い897試合で塗り替えた。
単に安打を積み重ねるだけでなく、日本と変わらぬ、もしくは、上回る量産ペースで安打を打ち続ける。それは、日本野球のレベルは決して下ではないということを、言葉ではなく、結果で示し続けてくれていることだと個人的に感じていた。あれから10年。42歳となった今回の会見でも「時間がかかりすぎだよね。この3年間はちょっと足踏みだね。サッと抜きたいもんね」とスピードを意識している言葉に、イチローの信念がにじみ出ている気がした。
1安打に要する打数を見ても、日本時代は2・83打数に1本で、メジャー通算は3・18打数に1本。近年はベンチスタートも多く、ペースは落ちたが、遜色ない成績を残してきた。日米の合算記録の是非にはいろんな見方があっていいと思うが、私は「日本の野球がメジャーよりレベルが下かどうか」という議論は、イチローというスペシャルな選手の記録を評価する上では、関係ないものだと考える。積み上げてきた数字が証明する。
長年スカウトを務めてきたア・リーグ球団の関係者も「昔はイチローより上の選手を日本から連れてこいと言われたが、今は誰もそんなことを言う幹部はいないよ」と語る。世界一の安打数を積み上げた男への敬意は、日本も米国も一緒だ。(倉橋 憲史)
さすがだよ、イチローさんは!!!
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