前向きに生きて行きたいものです。いや、生きて行きましょう!
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■将棋の本が愛読されていた
ファーストクラスというエリアは、想像される以上に、特別な空間といえます。ハイクラスの方々が一堂に集まるのはもちろん、仕事モードから離れた機内は、お客様にとってある意味プライベートに近い空間。担当するCAは、一流の方々の、普段見ることのない一面を拝見する機会が多いのです。
私が長年ファーストクラス担当の客室乗務員として勤務した中で特に印象的だったのが、ファーストクラスを利用される常連の方々は、共通して「読書家である」こと。1度の搭乗の際に、多い方では10冊以上の文庫や新書を持ち込まれ、機内での時間のほとんどを読書に費やす方もいらっしゃいました。そんな姿を目にすればするほど、超一流のビジネスエリートでもある彼らがどんなジャンルの本を好むのか、私自身とても興味が湧いたものです。
読んでいる本の内容によっては、「何か悩みがあるのでは」と感じることもありました。本は読み手の“心の状態”を表すことがあるのです。
ファーストクラスのお客様は、機内ではビジネス書よりも歴史や文学、考え方のヒントとなるような本を好むことがわかりました。さらに興味深かったのが、「将棋」の本を愛読されている方が多かったこと。この傾向は、現在のファーストクラスのお客様にも共通しているようです。
ご存じのように「将棋」は相手の王将の捕獲をめざす、盤上の「静かなる闘争」。相手の出方を読むという意味では、将棋は経営者の方々に親和しており、人気が高いのかもしれません。
歴史小説では、やはり司馬遼太郎さんは手堅く、ほとんどの方が読まれていました。
フィクションのジャンルでは、浅田次郎さん、池波正太郎さんの小説が目立ちました。また、ハードボイルドを好む方もいて、当時人気だったアメリカの推理作家、ロバート・B・パーカーの探偵小説『スペンサー・シリーズ』を愛読している方が多かったのを覚えています。こうしたフィクション小説は、オフモードの機内でリラックスするための必需品なのかもしれません。
仕事のヒントとなるような本の場合には、気になるページに折り目をつけたり、ラインを引いたり、熱心に本の内容を紙にまとめられたりする姿がとても印象に残っています。
到着時に「本を処分して」と、お願いされることも多いのですが、その際「ここの部分が君たちの仕事に役立つよ」といったアドバイスや、要約したメモとともに紙袋にどっさり入った本を渡されたことが何度もありました。要約を読めばその本がどんな内容なのかひと目でわかり、興味のある本をみんなで分けて持ち帰り、勉強したものです。
私がお客様から頂戴した本の中でも、特に記憶に残っているものがいくつかあります。池波正太郎さんの『男の作法』は、日常のさまざまな場面において「男はこうあるべき」が描かれていますが、女性にも「なるほど」と通じる部分も。今でも時折ページを開くほど、大切にしている1冊です。
また、外食企業のオーナーであるお客様からいただいた食通本『美味礼讃』は、“芸術としての料理”が語られており、単にグルメを楽しむだけでなく、ビジネスのヒントにされていたのではないかと思います。
■「読む」「書く」で知識をストック
元官僚で経済学者の榊原英資さんの著書、『君たちは何のために学ぶのか』という若者向けに書かれた本の中に、「得た知識は、鮮度が劣化しないうちにアウトプットすること」という記述があります。機内でも多くの方が榊原さんの著書を読まれていましたが、「知識のアウトプット」は、まさにファーストクラスに乗るビジネスエリートたちが実践していることそのものです。
本の内容を要約される方は特定の方ですが、ファーストクラスの常連のお客様の多くが、どんなささいなことでもメモを取る習慣が身についています。CAとの何気ない会話でも、ご自身が気になったことはすぐに書き留めます。そのため、常にペンとメモをセットでワイシャツのポケットに用意されているほど。こうしたメモをはじめとする一流の人たちの習慣をコツコツ実践することで、私自身、起業できたといっても過言ではありません。
私の講演を聴きにきてくださる経営者の方々も、どんな話にも真剣に耳を傾けてくださいます。しかも、みなさん費やした時間分だけは何かしら持って帰ろうというアグレッシブさを持ち合わせているので、ものすごい勢いでメモを取られます。あるとき、「なぜメモされるのですか」と質問したところ、「メモを取るのはビジネスの基本中の基本でしょう? 」と。それを聞き経営者のみなさんの時間を無駄にしない姿勢、そして情報が目や耳から入った瞬間の感動や輝きを“フリーズドライ”することの重要性を改めて認識しました。
書名は思い出せないのですが、以前読んだ何かの本の中にも、「書く能力と話す能力は一流の仕事には欠かせない」とありました。
写真・図版:プレジデントオンライン
[拡大]
おもしろいことに、アップグレードでビジネスクラスからファーストクラスに搭乗したりする“非常連”の方々に共通するのは、機内で「読書をしない」こと。ファーストクラスのサービスを満喫されるのに夢中で、読書をする余裕がないのかもしれません。
「ゲーム」をしたり、「映画」を鑑賞し尽くされたり、またファーストクラスに搭載している「ワイン」を片っ端から堪能されたりと、明らかに常連の方々とは違う行動が目立ったのです。
常連のビジネスエリートの方々は、機内での時間はオフタイムに切り替えていますが、ゲームやアルコール過多でオフの時間を無駄にすることはありません。彼らのオフタイムは、知識や情報をインプットし、脳にストックする貴重な時間であり、それが「読書」につながっているのだと思います。
機内で読む本としてビジネス書があまり好まれないのは、仕事に直結する直接的なものよりも、伝記や小説をメンター(良き指導者)として、効果的なヒントを求めているからなのかもしれませんね。
■著者リスト
【小説】浅田次郎/池波正太郎/堺屋太一/ロバート・B・パーカー
【歴史小説】司馬遼太郎
【将棋】大山康晴名人/中原 誠名人/その他名人本
【精神医学書】小田 晋
【趣味】釣り関連
ファーストクラスか・・・いつか必ず!!!
COMMENT